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研究組織

公募 A02班(平成24-25年度)

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公募 A02班(平成24-25年度)

染色体分離を制御する動原体に働く力バランスの定量

氏名:
矢島 潤一郎  HP
機関:
東京大学・総合文化研究科
専門分野:
生物物理
役割分担:
研究の総括、実験の遂行者

研究の目的

本研究の目的は、適度に動的不安定性(自律性・可塑性)を備えた細胞分裂装置により、精緻に進行する染色体分離のダイナミックな分子プロセスを明らかにすることです。そのために蛍光標識した少数の生体分子を3次元空間でイメージングできる技術に加え、染色体分離装置内の生体分子に対し、力学的な操作が可能な光ピンセット技術を統合した顕微システムを構築します。そして、染色体分離の各過程で力学的な摂動を外部から与え、そこでダイナミックに働く少数のタンパク質の応答を定量し、柔軟性・適応性・頑健性を持った染色体分離システムの解明を目指します。

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シナプス機能制御における少数分子の空間的コーディネートの意義の解明

氏名:
並木 繁行  HP
機関:
東京大学・医学系研究科
専門分野:
薬理学
役割分担:
研究・実験のデザインと実施

研究の目的

神経回路機能の調節ではシナプス前終末のアクティブゾーンからのグルタミン酸などの神経伝達物質の放出パターンが重要な役割を担っています。アクティブゾーンに存在している少数の分子が適切な空間的なコーディネートを受けることでシナプス小胞の放出部位の個数や放出確率は制御されていると考えられていますが未だその証明はなされていません。本研究では放出部位の形成に必要な分子を同定し、同定した分子がナノドメインでどのような空間的コーディネートを受けて放出部位の個数や放出確率を変化させているのかを明らかにします。加えて、神経入力のパターンに応じてシナプス可塑性を実現するためのシナプス小胞放出部位の個数や放出確率の制御が、ナノドメインにおける制御分子のどのような空間的コーディネートによってなされているのかを明らかにします。以上の成果を基に、シナプス機能制御が少数の制御分子で行われることの重要性や意義について解明します。

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発現量の少ないタンパク質の凝集性とシャペロン要求性の解析

氏名:
丹羽 達也  HP
機関:
東京工業大学・生命理工学研究科
専門分野:
生化学
役割分担:
無細胞タンパク質合成系を利用した微量タンパク質の性質評価

研究の目的

タンパク質は細胞内で様々な機能を発揮しており、その存在量も少ないものから多いものまで様々なものが存在する。私達は過去に大腸菌の全タンパク質の凝集性を調べた結果、細胞内での発現量が少ないタンパク質はフォールディングしづらい性質を持つことを見いだした。そこでこのような微量タンパク質と種々の分子シャペロン及びプロテアーゼとの関係を調べるために、再構築型の無細胞タンパク質合成系を用いて微量タンパク質のシャペロン依存性及びプロテアーゼ感受性について調べる。さらに細胞内での振る舞いを調べるために、蛍光タンパク質を利用して微量タンパク質と分子シャペロンやプロテアーゼ等を可視化し、その動態を観察する。このようなアプローチによって、今まで知られていなかった微量タンパク質のフォールディングに関する性質を明らかにし、生体内における微量タンパク質の生物学的な意義についての理解を深めたい。

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細菌べん毛形成を1本に制御する仕組み

氏名:
小嶋 誠司  HP
機関:
名古屋大学・理学研究科
専門分野:
生化学/生物物理学
役割分担:
研究統括、タンパク質活性と動態の解析

研究の目的

細胞の機能を担う超分子複合体は、細胞内の指定された場所に必要な数の分子が自己集合して機能しています。ビブリオ菌のべん毛形成位置と数の制御には、GTPaseのFlhFとATP結合モチーフを持つFlhGが関与しています。FlhFは極に局在しべん毛数を正に制御します。一方FlhGはFlhFに作用し極局在を阻害することで負に制御しています。なぜ極に1本だけべん毛を形成できるのかその詳細はまだ分かっていません。本研究ではまずFlhFとFlhGの生化学的活性が、本数・位置を制御するのか詳細に調べます。続いてFlhF/FlhGと結合する因子の免疫沈降と質量分析による同定、及び欠失変異体からの抑圧変異の取得を行うことで、FlhFとFlhGの関わるネットワークを調べます。そして、蛍光標識したFlhFの細胞内動態観察を行い、何分子のFlhFが極に集合することで1個の基部体形成を開始するのかを調べます。

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少数分子時における生物時計の時計安定性評価

氏名:
小嶋 勝  HP
機関:
大阪大学・基礎工学研究科
専門分野:
生物物理学
役割分担:
微小空間内での生物時計活性の解析

研究の目的

本研究は、申請者の過去の研究背景・成果を生かし、唯一、試験管内再構成が可能なシアノバクテリア由来の時計タンパク質を脂質二重膜小胞による微小空間、またはマイクロ・ナノ微細加工技術に基づいて作製した微小空間(容積サブフェムトリットルのナノメゾサイズチャンバー)内に封入し、分子数を制御した上で環境条件を変化させ、外乱に対する時計活性の正確性、それらの分子数との関係を明らかにする。これにより、生体機能の外環境の揺らぎに対する対応機構とその限界に迫る。先ずは、油中ドロップレット中における時計の再構成実験系を発展させることで、生物時計タンパク質の外環境への頑強性と分子数との関係を明らかにする。

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GPCRのシグナル伝達経路の分岐の仕組み:1分子観察法を用いた研究

氏名:
笠井 倫志  HP
機関:
京都大学・再生医科学研究所
専門分野:
1分子生物物理学
役割分担:
シグナル分子複合体の1分子可視化

研究の目的

Gタンパク質共役型受容体(GPCR)のシグナル伝達経路は多岐に渡るが、下流のシグナル分子は、細胞膜上で、数種類、且つ数分子程度の小複合体としてシグナルの経路毎に存在しており、シグナル伝達を担う機能単位として働いています。本研究の目的は、GPCRの下流の、少数個の異なるシグナル分子からなる複合体に1分子~数分子の活性化したGPCRが結合して解離するまでという、シグナル分子複合体の活性化の一部始終を直接観察し、同一のGPCRが異なるシグナル複合体を活性化するのか、異なるGPCRが異なるシグナル複合体を活性化するのかという、シグナル経路の分岐について、分子の個性を調べる事で明らかにしたい。そのため、3つの異なる分子を同時に1分子ずつ観察する手法を開発・発展させ、シグナル分子同士の結合解離を1分子ずつ観察し、少数個の分子複合体の形成・解離の過程を時空間的に追跡します。

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核-細胞質間の物質輸送を制御する核膜孔複合体内の分子動態の解明

氏名:
粂田 昌宏  HP
機関:
京都大学・生命科学研究科
専門分野:
分子細胞生物学
役割分担:
核移行タンパク質の動態解析

研究の目的

全ての真核生物にとって、核膜孔複合体を介して核質と細胞質とを物質的・機能的に結び付けることは、生命維持の根本をなす重要なシステムです。核膜孔の内部では、その疎水的サブユニットによって「極小空間に数個~数十個の因子が非常な高密度で存在して疎水的相互作用をしている」という特殊な環境が形成されており、この環境を反映した実験・理論系を構築しなければその物質輸送メカニズムの詳細に迫ることはできません。本研究では、核膜孔内部で一体何が起こっているのかを分子レベルで明らかにするために、核膜孔内部の生理的極限環境下での分子数依存的な相互作用、およびこの環境における核膜孔通過分子の動態に着目し、in vitro/in vivo/in silico の様々な手法を用いて分子のふるまいを解析します。最終的には、これらの解析から得られた結果を元に、核膜孔を介した物質輸送メカニズムの本質的理解を得ることを目指します。

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生物回転ナノマシン構成素子の機能イメージング

氏名:
曽和 義幸  HP
機関:
法政大学・生命科学部
専門分野:
生物物理学
役割分担:
分子モーターの機能解析

研究の目的

細菌べん毛モーターは、(1) 1秒間に100回転を越える安定な高速駆動、(2) 回転方向を瞬時に切り替えるスイッチ機構、などの多くの優れた特徴を備えており、将来の人工ナノマシンお手本ともいえる存在です。また、比較的少数のモータータンパク質群が協同的に機能することにより、個々の分子ゆらぎを平均化して極めて安定に駆動する機構を備えていると考えられています。本研究では、蛍光標識したモーター構成素子の動きを直接的に観察することで、モーター内のダイナミックで協同的な作用機序の解明を目指します。

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分子イメージングによる異物排出ポンプ細胞内動態の解析

氏名:
川岸 郁朗  HP
機関:
法政大学・生命科学部
専門分野:
分子生物学・生物物理学
役割分担:
研究統括

研究の目的

細胞の多剤耐性能の主たる要因の一つは異物排出ポンプの発現にあり、多剤排出能をもつポンプは原核生物から高等動植物まで広く分布しています。大腸菌において、多剤耐性に関わる主要な異物排出ポンプは、内膜トランスポーター AcrB、 膜融合蛋白質AcrA、 外膜チャネル TolC 複合体です。それぞれ3分子、合計わずか9分子の蛋白質が協同的に働くことで機能する分子機械です。これらのコンポーネントのうちTolCは他のトランスポーターにも共有されますが、その多くは環境刺激により発現が誘導されます。このとき、新たに合成されたトランスポーターは、既存の複合体中のものと置き換わるのでしょうか、それとも新たに合成された TolC と複合体を形成するのでしょうか。また、基質薬剤の存在はポンプ複合体の会合・解離に影響するのでしょうか。本研究では、このような疑問に答えるため、蛍光イメージングの手法を用いてポンプの細胞内動態を解析します。

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少数のダイニンと微小管から成る振動系の作成と構造・機能研究

氏名:
広瀬 恵子  HP
機関:
産業総合研究所・バイオメディカル研究部門
専門分野:
生物物理学・電子顕微鏡
役割分担:
細胞内蛋白質の電子顕微鏡構造研究

研究の目的

繊毛・鞭毛の運動はダイニンの力発生によって駆動されるが、その周期的波打ち運動は、一方向に運動するダイニンの機能の足し合わせでは説明できない。まず、軸糸ダイニンは隣り合う微小管の間に規則的に配列し、隣接するダイニンとの相互作用による影響を受ける。第二に、微小管同士が伸縮性分子で架橋されることにより、ダイニンは微小管を介して他のダイニンが発生する力による制御を受け、振動運動能が生まれると考えられる。本研究では、複数のダイニン分子が協同的に働き、効率的な振動運動機能を獲得するメカニズムの理解を目指して、少数のダイニン分子、微小管、及び微小管架橋構造から成る複合体を作成し、その運動機能を調べるとともに電子顕微鏡を用いて高分解能構造を解析する。

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