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研究組織

公募 A02班(平成26-27年度)

研究組織

公募 A02班(平成26-27年度)

バイオイメージングによるウイルス感染と細胞応答の定量解析

氏名:
大場 雄介  HP
機関:
北海道大学・医学研究科
専門分野:
生理学、細胞生物学
役割分担:
ウイルス粒子の細胞内取込課程の定量的バイオイメージング

研究の目的

医学が大幅に進歩した現代においても、ウイルス感染症は人類が対策を怠ることのできない疾病です。これまで私達は、バイオイメージングを用いたシグナル伝達の解析により、エンドサイトーシスやインフルエンザウイルス粒子取込を制御するシグナルネットワークを明らかにしてきました。また、それらのプロセスにおいて、細胞内カルシウム動態がキーになることも見出しました。本研究では、これまで蓄積した知見を元に、定量的バイオイメージングにより、「何個のウイルス粒子が、その後の細胞応答と感染成立に必要か?」という命題に挑みます。また、実際の生体での感染成立を規定する要素を、「少数性」という観点からの解明を目指し、新しい概念に基づく感染症の予防や治療法の開発に向けた基盤を形成します。

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細菌べん毛本数を厳密に制御する分子機構

氏名:
小嶋 誠司  HP
機関:
名古屋大学・大学院理学研究科
専門分野:
生化学、生物物理学
役割分担:
研究統括、タンパク質活性と動態の解析

研究の目的

細菌は効率良く運動するために、運動超分子であるべん毛の形成位置と本数を厳密に制御しています。ビブリオ菌は細胞の極に1本だけべん毛を形成するため、細胞における超分子の位置と数の制御機構の解析に適しています。極べん毛の位置と本数は、GTPaseのFlhFが正に、同一オペロン上の推定ATPaseであるFlhGが負に制御しています。本研究では、FlhFとFlhGの細胞極における数のバランスがべん毛数を決める仕組みを明らかにすることを目的とし、FlhGのATPase活性がどのようにしてFlhFの極局在を制御するのか、FlhFのGTPase活性との関連に着目して解析を行います。また、蛍光標識したFlhFまたはFlhGを分裂中の細胞内において実時間観察し、細胞内でいつFlhFが極へ移動するのか、また極局在分子数はべん毛形成過程においてどう変化するのか、さらにFlhGは各段階でどう関与するのかを明らかにしたいと考えています。

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情報伝達チャネルの興奮と抑制を修飾する少数分子の機構解明

氏名:
竹内 裕子  HP
機関:
大阪大学・生命機能研究科
専門分野:
神経生理学
役割分担:
線毛内分子ダイナミクスの機構解明

研究の目的

生体の匂いセンサーである嗅細胞は、鼻腔内嗅粘膜の上皮組織内に位置し、嗅覚受容の初段を担います。匂い分子の持つ化学情報が生体電気信号へと変換されるのは、直径100nmの線毛で、限られた微細空間でシグナルトランスダクションが行われています。この嗅覚情報変換は、高次へ匂い情報を伝達する際に、嗅覚感度を調節する重要なポイントとなります。しかし、線毛が微細構造であるため、分子機構の研究が立ち遅れていました。本研究では、電気生理学的・光学的アプローチを生体嗅細胞に同時併用することで、従来不可能であった線毛内の情報伝達因子の実時間挙動を定量的に解析します。また、生体では、情報伝達チャネルであるCNGチャネルとCl(Ca)チャネルの連続的な活性により、信号の非線形増幅が起こっていますが、細胞内外の小数分子により、チャネル活性が修飾される可能性があります。そこで、細胞内外からのアプローチで、線毛における嗅覚情報変換チャネルの興奮と抑制のメカニズムを検証することを目的とします。

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発現のオンとオフを繰り返す少数分子によるES細胞の多能性の制御

氏名:
堀江 恭二  HP
機関:
奈良県立医科大学・医学部
専門分野:
遺伝学、分子生物学
役割分担:
ES細胞での遺伝子発現解析と多能性制御機構の研究

研究の目的

幹細胞の多能性は、学術的にも臨床応用の点でも重要性が高い一方で、多能性に特有の動的かつ精巧にプログラムされた現象を説明するためのモデルは、未だ確立していません。我々はこれまでに、遺伝学的なスクリーニング法を用いて未分化ES細胞で発現がオンとオフを繰り返す遺伝子の存在を見出しました。遺伝子発現の周期的変動がES細胞の多能性を規定するとの知見は、過去に報告例はあるものの極少数に留まっており、多能性の体系的理解へ繋げるには、より多くのデータが必要です。本研究では、「少数分子の発現の変動がES細胞の多能性を規定する」との仮説のもとに、発現がオンとオフを繰り返す遺伝子を網羅的に同定します。さらに、同定した遺伝子の発現レベルとES細胞の多能性に相関のある遺伝子を特定して、その分子機構を明らかにすることを目指します。

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構成論的アプローチによる収縮環の収縮機構の解明

氏名:
宮崎 牧人  HP
機関:
早稲田大学・先進理工学研究科
専門分野:
生物物理学
役割分担:
アクトミオシン集合体の動態解析とモデル構築

研究の目的

動物細胞は収縮環と呼ばれるリング状のアクトミオシンバンドルを形成させ、その収縮力によって細胞をくびり切ることで分裂します。収縮環の形成を制御するシグナル伝達系や収縮環の構成タンパク質の同定は進んでいますが、その一方で収縮環が自発的に形成される仕組みは未解明な部分が多く残されています。収縮環は、筋肉(横紋筋)に見られる秩序立ったサルコメア構造とは対照的に、長さも極性も不揃いなアクチン繊維が束化した無秩序な構造をしており、そのような構造体が収縮できる仕組みも未だに良く解っていません。そこで本研究では、従来の細胞を用いた研究では制御が困難な、細胞(微小閉鎖空間)の大きさやアクチン繊維の長さ分布などの物理的なパラメータに着目します。細胞から単離したタンパク質を細胞サイズの閉鎖空間に閉じ込めた人工細胞系でそれらのパラメータを制御し、収縮環が自発的に形成される仕組みと、壊れることなく着実に収縮できる仕組みを理解することを目指します。

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細胞内局所pH制御メカニズムの解明

氏名:
森本 雄祐  HP
機関:
理化学研究所・生命システム研究センター
専門分野:
生物物理学
役割分担:
細胞内局所pHの計測・制御

研究の目的

細胞内pHは細胞のシグナル伝達において重要な要因の一つとして働いています。細胞性粘菌などで見られるアメーバ運動は、特異的なpH領域が細胞内で局所的に形成されることによって、効率よく指向性を持った運動をすることができているものと考えられています。しかしながら、実際にはアメーバ運動における細胞内局所pHの制御機構および詳細な役割は明らかではありません。本研究では、近年急激に成長しているオプトジェネティクス技術を応用することにより、高時空間分解能での細胞内pH測定および細胞内pHの局所的な制御を行い、細胞内局所pH変化によるアメーバ運動などの細胞のダイナミクスを制御するメカニズムを明らかにします。

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神経細胞の自発的形態形成における少数資源の奪い合いによる自己組織化機構の研究

氏名:
岡田 康志  HP
機関:
理化学研究所・生命システム研究センター
専門分野:
細胞生物学、生物物理学
役割分担:
研究・実験のデザインと実施

研究の目的

発生過程における自己組織化現象の理論的枠組みとして、チューリング型の反応拡散系が有名です。この系は、分子数が少数である場合には、少数資源の奪い合いによる自己組織化という形で実現可能です。私は、幼若な神経細胞が形態形成を行う過程の観察を通じて、細胞内輸送という少数資源がランダムに選択された突起に集中することで、神経細胞の自発的な形態形成が行われるという可能性を考えています。本研究では、in vitro再構成系と培養神経細胞を用いた実験を組み合わせることで、少数資源の奪い合いによる自己組織化モデルの前提となる「細胞内輸送の自己活性化」の検証および分子機構の解明と「細胞内輸送を担うモーター分子の個数の細胞内分布計測」を行います。

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